展示作品
エネルギッシュでもあり、ユーモラスでもあり、少し怖くもあり。一度見たら忘れられない女性像です。笑っているのか、踊っているのか、叫んでいるのか、それとも驚いているのか。この強烈な印象は、キャラ立ちした造形だけでなく、あざやかな色彩の効果にもよるでしょう。この色は、絵筆で絵具を塗り重ねるのでなく、染色の技法を用いることによって得られたものです。1955(昭和30)年、岡本太郎が作家を人選した展示(第40回二科展の第九室)に間所紗織は出品し、大きな脚光を浴びます。本作は、その展示への出品作です。
東京音楽学校で声楽を学んだ間所は、結婚、出産、育児を経て、油絵と染色の道へと転じました。ときに叫び、笑い、髪を逆立てる女たちを描いた一連の作品により注目を集めたのち、日本の神話や民話に傾倒するようになります。『日本民族伝説全集』(藤沢衛彦、河出書房、1955年)を愛読し、古事記を主題に、自らの洞察と想像力を加えた作品を多く描きました。とりわけ彼女の関心を引いたのが、神々の誕生や国づくりといった主題であり、第41回二科展に出品された本作も、そのうちの1点です。